2020/2/15 列に並んでいるとよく横入りされる

誰もわたしのことなど見えていないのだろう。怒りなど微塵も湧かず、自分の形が一瞬わからなくなる。或いはとうとう死んでしまったか、と自分はもう魂のみになった説も脳裏をよぎる。わたしは誰かのことを、いないことにしていないか。雑に扱ってしまっていないか。見えているのに、無視してしまっていないか。そんなことを、ぐるぐるぐるぐる考える。

レジでおつりをもらったら、ありがとうございますを言い忘れてしまったことを思い出して、ひどく落ち込む。そんなことくらいで、と思いつつも、それはそんなことくらいとぞんざいに扱いたくない。わたしにとっては、とても大切なことだ。ずっと、大切にしたいことだ。

もう少し、適当に生きた方がいい。自分でもそう思う。でもそれが出来たらとっくにしている。それが出来ないから今日までこの調子だ。今は、海の深い谷底で沈むことしかできない時期らしい。そう割り切って、無理に浮上しようとすることはしない。わたしのずっと上を蠢く日の光に、鬱陶しさすら感じる。


誰も、わたしのことなど見えていなければいい。誰の記憶の中にも、わたしの存在などひとかけらも残っていないといい。何万回そう思っても、やはりわたしは名前を呼ばれると気恥ずかしく、居心地が悪くて、どうしていいのかわからなくなる。